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途中まで書いたけどその後どうすれば良いのか全くわからない小説

詩ってあるじゃないですか。曲の歌詞とか。
それを拡張して物語にしたら面白いと思うんですよ。
でも著作権的にどうなんだろう。やってみたいです。今度やります。
この小説は、最近途中まで書いたけど、この後どうすれば良いのかわからない小説です。

僕はいま、どこにいるんだろうか。そんなことを考える。
周りを見渡しても、誰もいないし、誰の声も聴こえない。いつもは聴こえるはずの木々のざわめきや、川のせせらぎや、それからいつも聴こえる鐘の音すら聴こえない。「リスさん」の声だって聴こえない—。
コレは夢かなあ。きっとそうだろうな。僕は、地面に腰を下ろす。でも、何も起こらない。
ポケットを探る。自転車のキー。いまここに自転車があったら、風を切って何処までも行けるのに。僕は思う。でも、残念ながら自転車は無い。残念ながら。
僕はいま、どこへ行けるんだろうか。そんなことを考える。
…どこへでも行ける。

***

誰かが僕の部屋のドアを開ける。
「なんでこんなに遅くまで起きてるの?」ああ、君か。僕は思う。
「こんな気持ちは初めてなんだ」僕の口から溜息が漏れる。どんなに我慢したって、それはなぜだか自然と僕の隙間から溢れ出てしまう。どうして?
「そっか」彼女は言う。
「君も起きてるじゃないか」
「別に」
しばらくすると、彼女は僕の部屋のドアを開けて出て行く。僕は顔を覆う。なんでこんなにつらいんだろう。こんなに動きづらい一日は無かった。
疲れてるんだ。
僕は机に突っ伏して寝ようとするけれど、なんだか変な気持ちが僕をちくちくと突いて、眠れなんかしなかった。突っ伏したまましばらくすると、なんだか身体中に違和感を感じる。着ている服が、僕の眠ろうとする気持ちをへし折る。そして僕は、我慢できずに顔を上げてしまう。そのくりかえしだった。
「リスさん」僕は彼女を呼ぶ。でも、彼女はその日、僕の部屋に入って来なかった。

「リスさん」と、彼女は呼ばれていた。リスに似ていたから。
僕のあだ名は特にない。特に名前で呼ばれることもない。「あなた」とか「君」とか、そんなのばっかりだ。
「リスさん」と「僕」の関係について。
別に大した関係じゃない。僕がこの村に引っ越してきたときに、初めて話しかけてくれたのが彼女だった。それで仲良くなった。それだけ。

僕とリスさんは、よく話す。と言っても、僕が何かを言って、彼女が曖昧な返事を返すだけなのだけれど—。
話す場所はだいたい決まっている。学校の帰り道にある、小さな丘。

初めて話した日、彼女は思い出したかのように、「そろそろ時間だね」と言った。
「何の?」
「鐘が鳴る」彼女は叙情詩の一節のように言った。「この鐘が鳴ると、みんな家に帰るのよ」そして、しゃがんだまま薄いオレンジのサンダルを草地に滑らせて坂の下まで降りていった。僕はそれを走って追いかけた。
「そろそろ」僕はその言葉を反芻していた。「鐘の鳴る時間—」僕は第一ぶきっちょなんだ。「家に帰る時間—」僕はこうやって反芻してみないことには、ものごとの全体を頭の中に上手く刻み込めない。僕にとってものごとの奥深くまで考えるためには絶対に必要な作業。
そして鐘が鳴った。

—僕はそんなことを思い出しながら、もう一度机に伏せた。

***

「ある人は言うんだ」僕は会話を作り出そうとする。
「うん」リスさんは相づちを打ってくれる。そして小さく笑う。
「世界は広いって」僕はそうやって自分自身を納得させまいとする。
「そうかしら」リスさんもそれに応じるように首を傾げる。
「そして」僕はあの時のことを思い出す。「僕の友達は言ったんだ」
「『でもやっぱり世界は広いと思う』ってさ」
「そうかもね」
「……そうかな」僕は、少しだけ悲しくなる。どうして逃げてしまうんだろうか?
「……………」
「もし世界がとてつもなく狭かったとしたら」僕は仮定する。「この世界は鐘の鳴る世界だ。家に帰る時間だって教えてくれる、親切な世界だ」
「そうなのかしら」
「……わからない」僕は、最初に考えていたことをすっかり忘れてしまっていた。なにをしていたっけ?頭の中に刻み込むのを忘れたみたいだ。
そういうわけで、いつものように日は暮れていく。自己嫌悪は何も生まない。
街は鮮やかな紅葉のように染まっていく。僕はそういうことが好きだったのに。

「ある人が言う」僕は一人つぶやく。「自己嫌悪は」、「何も」、「生まない—」。だって、そうしないと頭の中にうまく刻み込めないから。

***

起きると、両手の感覚がなかった。びりびりする。なんでだろう?
—ああ、そうか。腕を頭の下敷きにして寝てしまったから、腕がしびれてるんだ。そうしたらじきに治るだろう。僕は感覚のない手をぶるぶると振った。空気に手が触れるたびに、手がびりびりと言った。
机の粗い木目の跡が、腕にくっきり残っていた。この木目のせいで、この机は勉強に全く向いていない。プリントなんかに書き込む時は、いちいち下敷きをあいだに敷かないと、プリントにぼろぼろと穴があいてしまうのである。不便なものだ。
—あれ、でも、よく考えると、このごろ勉強を全くしてないなあ、この村に来てからというものは。村の学校で少しするくらいだ。それも遊び程度にだ。
「自己嫌悪は何も生まない」というのは、僕がこの村に引っ越してくる前に通っていた学校の教師から良く聞かされていた台詞だ。昔、テストで高い点が全く取れなかったときに良くこの言葉を聞かされたものだ。自己嫌悪は何も生まない。そりゃそうだ。自己嫌悪は別に生き物でもなんでもないから。
—リスさんが聞いたらどう思うだろうか—「自己嫌悪は何も生まない」。彼女は笑ってくれるだろうか。それとも、曖昧な表情を返すのだろうか。

***

「人が死ぬのは嫌いだ」僕はいつものように丘のてっぺんに座って言った。
「そうかしら」

彼女はいつも、そういう風な返事をした。
「そうかしら」
「うん」、「ええ」
「そうかもね」
「わからない」
彼女の口数はいつも少なかった。僕はそういう人にはじめて会った。

「嫌いじゃないの?」僕は訊く。
「わからない」
こんなふうに。

僕は、人が死ぬのが嫌いだ。人が死ぬのが嫌いだ。
だから、リスさんにも同意してほしかったのに。彼女は「わからない」と言った。曖昧な表情を浮かべながら。どうして?

Comments:2

紫苑 07-09-29 (土) 14:26

こんにちはー。昨日はどうもありがとう!

歌詞を小説に書き起こすのって楽しそうだよね。
やってみたいと思いつつまだやったことないな・・・。
部誌に載せたり、自分で楽しむ分にはきっと著作権に引っかからないと勝手に信じてる。笑(こら)
小説も読ませてもらいました!
まだ途中だからなんとも言えないけど、やっぱり春樹好きさんなんだな、って思った。笑
完成を楽しみにしてます♪

admin 07-09-29 (土) 18:24

>紫苑さん
コメントありがとうございます。
お疲れさまでした。

歌詞を小説に書き起こすのもやってみたいですが、問題は、心情吐露系の歌詞は小説に起こしにくいだろうなということです。

小説、なんとなく春樹に影響されちゃいつつ書いてますね、やっぱり。
彼の文体とか、セリフの書き方とか、やっぱり影響されてるなって、自分でも思います。
どうしたものか…
完成できるように頑張ります!

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