People in the box / 2nd Single「Lovely Taboos」
- 2012年 2月14日
もう、「ほぼ中堅」と言っていいであろうロックバンド、People in the boxの2ndシングル……と言っても、一般の店頭流通はなく、ライヴ会場か残響recordの通販か渋谷の残響ショップでしか買えない。詳細はこちら。
前回のシングルでは、三曲が入っていたとは言え、実質「イントロ・A面・B面」という変則的な二曲構成の様相を呈していたように思える。今回ではどうかというと、「題名にテーマ性のある」三部作形式である。曲名を見ていただければわかると思うが、おそらくは「ハーメルンの笛吹き男」のエピソードをモチーフにしているのだろう。
一般流通がないからといって、手を抜いたりすることはない。全力投球の一枚になっている。ファンの方には、チャンスがあれば是非手に入れていただきたい一枚。
1.笛吹き男 – ★★★★
というわけで、テーマが冒頭に提示されていると言っても過言ではないほどのタイトルの一曲目。
イントロはホワイトノイズ→オーケストラのチューニング→カメラのシャッター音(?)→二本のギターによるアルペジオ……といった感じであろうか。
彼ら以上にキャッチーさと複雑さが同居している日本のロックバンドは、ないのではないのだろうか。とにかくサビ(あるいは、それを含めたメロディー)がキャッチーである。その一方で転調も面白いところへびゅんびゅん飛ぶし、リズムも時々おかしくなる(間に突如一拍子が挟まるストラヴィンスキー的展開!)し、歌詞はシュール極まりないし。やはりピープルはかなり、とてつもなく面白いバンドである。
そんなことを、この曲を聴きながら再認識させられた。
曲の展開のなか、歌詞に「愛してるよ」と聴こえる箇所が出てくるが、これは歌詞カードでは
「あいしてるよ、あいしてるよ」
と、カギカッコ付の上にひらがなで書かれて、極力ぼかした表現をなされている。こんなところが上手いところだな(歌詞にブレーキが効いているところだ)と思ってしまう。極論だけど、例えばローマ字でaishiteru、とか書かれてもわざとらしすぎて薄ら寒いだけだし、だからといって愛してるよ、と書くのも直接過ぎて気が引ける。そういった意味でこういった直接的な言葉をいい位置に落ち着かせるという歌詞の世界観もまた良い。
(だからといって「愛してる」と直接的にいうバンドも嫌いではない。この話はあくまで、彼らの世界観の中でのものなのです。わかりにくくてすみません)
2.市民 – ★★★★★
これこそまさにPeopleの変拍子曲である。7/8とでも言えばいいのだろうか。ぱっと聴きではわからないほどに細かい変拍子のリズム。
鋭いギターが空気を抉るように、セブンス系の曖昧なコードで鳴り響くのが非常に心地よい。
Bメロでの、「血の味だ」という歌詞を一回目は歌で、二回目は語りで表現する部分が印象に残る。
まるでCASIOPEAの「Domino Line」のように楽器が交代交代で短く刻まれるフレーズの後の感想は、3拍子系のリズム(12/8であろうか)。そこも印象深い。
全体として様々な拍子が交代交代で現れ、複雑怪奇でシュールな世界観がより深まっている。(前では触れていないが、Bメロは4/4拍子である。)
これ、初めて聴いたときはとにかく衝撃だったのだけど、なんだか形容する言葉が浮かばない。
3.子供たち – ★★★★
ラストはややスローテンポの曲。
テンポが遅いだけではなく、リズム隊が刻むビートも音数が少なく、どこか重厚に聴こえる。
サビではテンポを早めるものの、その速度は一瞬で終わる(二回目は一回目より長いが、それでもすぐに元のテンポに戻る)。
最後はコーラスが登場するが、突然にぶつ切られるようにして終了。
個人的には、コーラス(「逆さのベーゼンドルファー……」)の前にちゃんとピアノの音色が入っている(ベーゼンドルファーは、ピアノのメーカーなのです)のが面白く、印象に残った。
このシングルに収録されている三曲の中では一番キャッチー(わかりやすい)な曲ではないだろうか。
↑ボタンを押すと拍手を送ることができます。メッセージも送れます。


